キミの空になりたい


「汐音、補習頑張ってね」


「うん。くるみも頑張ってねー」



帰り支度を終えた、くるみが手を振って教室を出て行く。


くるみはこれから部活。


野球部の専用グラウンドは校門とは反対の方向にあるので、練習風景を見たことがない。


うちの高校の野球部は、名門ではないけれど、そこそこいいところまで行く。


甲子園の出場経験はないけれど、過去最高成績は県大会でベスト4だ。


今、甲子園初出場という学校が増えてきているから、どこの学校にもチャンスがある事には変わりない。



「はあ……」



ため息をつきながら教室を出ようとして、私は足を止めた。


坊主頭の男子が黒板をていねいに掃除しているのが目に入ったからだ。


< 7 / 341 >

この作品をシェア

pagetop