神様修行はじめます! 其の三
ちょくちょく集まり、表向きは仲良くお茶を飲みつつも。


抜け目なく各一族の腹を探り合い、さり気なく牽制し合うのが、会の目的。


・・・って、お岩さんに教えてもらった。


お岩さんも以前、乙女会の一員だったらしい。


腹芸ゴッコがあんまりバカらしくって、参加しなくなったって言ってたけど。


「ところで里緒、そんなに急いでどこへ行くつもりだったの?」


赤い口元に微かな笑いを浮かべながら、塔子さんが聞いてきた。


(あたしがどこ行こうが、あんたに関係ないじゃん)


・・・って本音を言うわけにもいかず、あたしはしぶしぶ答える。


「ちょっと門川君の所へ・・・」


とたんにザワザワッと乙女会が騒ぎ出す。


「門川『くん』?」


「くん? くんですって?」


「んまあ、信じられないわ!」


「当主様を、くん? くん? くん!?」


・・・・・・・・・・・・。


あーもークンクンうるさい!

散歩時の犬か! あんたらは!


「まぁまぁ、皆さん落ち着いて・・・」


塔子さんが皆を宥めながら扇で顔を覆い、大~きな溜め息をついて首を横に振った。


「里緒。しかたないとはいえ、無教養の度が過ぎてよ?」


「・・・はぁ?」


「当主様を『君』付けなどと・・・。お前は口の利き方を覚えなければならないわねえ」


「お前もな。塔子よ」

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