神様修行はじめます! 其の三
はぁ・・・なんか、複雑。


手強い相手が次から次へと現れて、裏で罠を仕掛け、こっちを陥れようとしている。


御簾の向こうの影はみっつ。


てことは、最低でも長老の中で三人は敵側って事だ。


残りのふたりも厄介で手強い相手に違いない。


真ん中の影は相当なジジイっぽかったし。


年取ってる分、かなり強烈に根性の捻じ曲がった攻撃をしてくるに違いない。


・・・・・面倒ね。

近いうちに突然ポックリ天寿をまっとうしてくれないかな?


「あのおじいちゃん咳して具合悪そうだったし、そろそろお迎えが来てもおかしく無くない?」


「いやいや、ああいうのに限って長生きするんじゃ人間は」


「そうだよねぇ・・・チッ」


「物騒な話をしていないで行くぞ、絹糸。天内君」


あ。はいはい。


あたしは門川君の隣に立つ。


そして彼を見上げた。


彼の隣に・・・また立てた。その喜びをしみじみと実感する。


血に汚れた姿に対する深い後悔と反省と共に。


未熟者なあたし。問題児なあたし。


罪人なあたし。彼の足枷になるあたし。


それを知ったうえで、彼はあたしを生涯離さないと言ってくれた。


なら・・・共に行くしかないじゃないか。


一歩、茨の道を進めた気がする。ほんの一歩だけ。


感じる痛みと流された血が、それを実感させる。


この先どれほどの道のりを歩かなければならないのか。


どんな種類のどんな痛みが襲い掛かってくるのか。


考えると、少しばかりの恐怖感が湧いてくる。


それはやっぱり、成長したって事だと思う。


脳天気なだけじゃなく、恐怖を覚えたって事は進歩だよ。


そう信じて課題をこなして進んでいかなくちゃ。


とりあえず、今現在の最重要課題は・・・


「雛型を、止めなければならない」


そうだ。なんとしても止める。

彼を守って戦おう。


強い決意を胸に抱えたあたしの視界が、一瞬で変わった。

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