神様修行はじめます! 其の三
「うらあぁぁあ―――っ!」

巻き舌の気合一発。
塔子さんの黄金の右ストレートが、魔犬の眉間にズゴッとめり込んだ。


うわっ、すげ! 文字通り、本当に拳が埋まるほどめり込んでる!


最凶の一撃に魔犬は悲鳴すらあげられず、引っくり返って地面をゴロゴロ転がっていった。


「勝手に懐いてくるんじゃないわよ! あたしは猫派よ!」

「・・・あまり、嬉しくないのぅ・・・」

ゲンナリした顔の絹糸が、ボソッと呟いた。


―― キンッ!

皮膚が粟立つような冷気が空中に走ったかと思うと、魔犬の全身が一瞬で透明な氷に包まれ、空中で停止した。


ストップモーションの画像のように固まった体が、氷ごと地面に落下する。

氷塊に閉じ込められた魔犬に、生気は全く感じられない。


「躾のなってない犬だな! 誰だよ飼い主!」


印を組んだ凍雨君が、両足を大きく踏ん張っている。


うお、こっちもすごいよ! 今までよりも氷の厚みがハンパなく増している!


戦闘を繰り返すうちに、短期間で飛躍的に術の威力が上達したんだ!

さすがは氷血一族の当主だよ!


―― ギャアアオォォ――!


魔犬の咆哮が響き渡り、次から次に襲い掛かってきた。


今度は三匹・・・四匹?

いや、もっとか!? どんだけいるのよこの犬の集団は!


この門って魔犬専門ブリーダーか!? 繁殖してんの!?


あたしは門川君の前に立ち、素早く身構えた。


あたしも負けていられない! まだ術の使えない彼を守らなきゃ!


「来るなら来い!犬ッコロ!」


ただし覚悟しておいで!

シッポ振っても撫でてなんかやらない! 痛い目必須だよ!

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