神様修行はじめます! 其の三
悔恨の日々・・・
魔犬の全身が、霜が降るようにピシピシと真っ白に凍り付いていく。


傷口から溢れる血液すらも、一瞬で凍り付いてしまう、この冷気の凄まじさ。


うげ、この魔犬の血液、粘ってるぅ。

しかも、妙にドス汚れた茶色の血。

異形のモノたちの血って、なぜかみんなグロいんだよなぁ。臭いもキツイし。

ひょっとして発酵してんのかな?

じゃ、実は意外と体に良いとか?


なんて事を考えているうちに、魔犬はその場に斃れてしまった。

そういや忘れてた。
印が組めなくても、彼にはお母さんの形見の刀があるんだっけ。

それにしても・・・。


「あのぉ、門川君?」

「なんだ?」

「・・・痛い」

「ん?」

「ほっぺ。痛いんですけど」


なんかね、さっきからほっぺがね、ジリジリずきずき痛むの。


刀が頬の横を、ギリギリすり抜けていった瞬間から。


「あぁ、少々血が出ているようだな。おそらく余波で切れたんだろう」

「・・・・・・」


血? 切れた?

あたしのほっぺ、切られちゃったの?

原因、あなた?


「あぁ。どうやらそのようだ」

「・・・」

「だが傷は浅い。大丈夫だ」

「・・・・・・」

「この程度の事など気にするほどの事でもない」

「あんたが言うなー!」


なんであんたがそのセリフを言うか!?

『気にしなくても大丈夫』って、そりゃあたしが言ってあげるセリフでしょ!?


言う気なくなったけど! 完全に!

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