神様修行はじめます! 其の三
「ありがとう! ありがとうマロ!」

動いた瞬間、信じられないような痛みが全身を駆け抜けたような気がするけど・・・

いいや別に! 信じられないんなら信じないでおこう!

痛みも何も全部無視して、あたしはマロを抱きしめる。

ギュウギュウと全力で、遮二無二、とにかく抱きしめた。抱きしめ続けた。
そして・・・

泣いた。

涙も鼻水も大洪水だ。蛇口の壊れた水道状態。

滝のように流れてくる。

だって嬉しい! こんな嬉しい事はない!

マロが救った! 今まで恨むことしかできなかったマロが!

故の無い罪に苦しむ塔子さんを、自分の意思と力と心で救ったんだ!


これが・・・

これが癒しと救いでなくて何だろうか!!



「塔子さんを助けてくれてありがとう!」

あたしはマロの顔を両手でギリッと挟み、何度も感謝の言葉を叫んだ。

その目を見つめて、泣きながら叫び続けた。

「ありがとう! ありがとう! ありがとう! 」


マロは、あたしのドロドロの顔を黙ってポカンと見ていた。

『ありがとう』の言葉を紡ぎ出す唇を、不思議そうに見つめている。

やがて、マロの顔も崩れて、両目から涙が滝のようにあふれ出す。

グシャグシャに泣き崩れた顔で、彼は何度も頷いた。

あたしの言葉に、何度も何度も繰り返し頷き返した。

マロの両腕が、あたしの体をしっかりと抱き締め返す。


あたし達は抱き締め合い

泣き合い

喜び合い

そしてお互いに

救い合った・・・・・。

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