神様修行はじめます! 其の三
「ああ、端境の一族からの書が届かないんだよ」


「申し訳ございません。未だに儀を行えないなど前代未聞。全て私達の責任です」


・・・ちょっとオヤジ軍団! 今の聞いた!?


この子の言う通り! これこそ前代未聞なの!


嫁がどーの外出禁止がどーの言ってる場合じゃないの!


こんな子どもにも分かる事なのに、本当に情けない大人ね! あんたら!


あたしは冷たい視線をオヤジ達に投げ、これ見よがしに溜め息をついてやった。


「君が気に病まなくともいいんだよ」


「いいえ。儀の一切の準備は、一族代表の者達の仕事です」


「それは、そうなんだが」


「なのに数ヶ月もの間、なんの手立てもせずに放置しました。全ては私達の不手際のせいです」


絹糸もあたし同様、ちらりと冷たい視線をオヤジに投げる。


そしてハァ・・・と小さな溜め息をついた。


「いや。僕は行く必要があるから行くだけだ」


「誰一人責めようともしない当主様のお心遣いに心から感謝いたします。ありがとうございます!」


しま子も(意味が良く分かってないけど)冷たくオヤジ達を見る。


そしてカアァ!っとオヤジ達に息を吐きつけた。


オヤジ達は揃ってゴホンゴホンと咳払いをする。


「もちろん私共とて、深く反省し感謝もいたしておりますぞ」


「ただ、私共は当主様のお立場を案じるあまりに・・・」


ごにょごにょ言い募る連中の言葉を遮り、門川君はキッパリ断言した。


「僕自らが端境の一族の元へ赴き、承認の書を受け取ってこよう」


凍雨君が深々と頭を下げる。


それを見て、しぶしぶオヤジ軍団も頭を下げた。

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