神様修行はじめます! 其の三
そのとても苦しそうな姿を見かねて、あたしは訴えた。


「凍雨君! あの、あのね! 門川君自身も、実はすっごく苦労してて・・・!」


「はい。ちゃんと分かってます」


凍雨君はあたしの言葉に大きく頷いた。


「大変なご苦労をされて、やっと当主に就任して、ぼく達を忘れずに真っ先に呼び戻してくださった」


大きな目が輝きをもって真摯に門川君を見つめる。


その目が、言葉が、強く強く訴えかける。


「本当に、当主様にお目にかかれてどれほど嬉しかったことか! これも淡雪(あわゆき)様のお導きです!」


「ありがとう。ありがとう、凍雨君」


じっと見つめ合う二人を見て、あたしは涙ぐんでしまった。


なんかさ、門川君がやっとお母さんに再会できたみたいな・・・。


お母さんと門川君の気持ちが、やっと通い合う事ができたみたいな・・・。


そんな気がするよ。


長い長い不遇のときを終えて、巡り会えた。


冷たい雪と氷に閉ざされた時間が遂に終わったんだ。


そうだよね。

こうやって、ちょっとずつ変わっていくんだよね。


少しずつ、今まで間違っていた事が正されていく。


その度に味方が、仲間が増えていく。


ほんの僅かな変化だけど、時間はかかるけど、それは確実に行われているんだ。


大丈夫! 門川は変われる!


あたし達仲間の輪が広がって、それを徐々に成し遂げていくんだ!


「永久様ぁ! お待ちしておりましたわ!」


仲間の一員の明るい声が聞こえた。

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