神様修行はじめます! 其の三
「外に馬車を用意しておりますわ。さ、参りましょう!」


その明るい声の主を見た凍雨君が、明らかにギョッとした。


うん、まぁ、無理もない反応だけどね。


あたしも初めてお岩さんに会った時は、かなりビビッたもんなぁ。


雪と氷しか無い世界から出てきて見たのがこれじゃ、インパクトでかいよねぇ。


あたしは凍雨君の肩をポンポン叩いた。


「大丈夫。すぐに慣れるからさ」

「は、はい・・・」

「あら、こちらの少年はどちら様ですの?」


ドレスを引きずりながら近づいて来たお岩さん。


凍雨君は無意識に一歩、後ろに下がった。・・・あはは。


「氷血一族の当主、凍雨君だよ!」


「んまあ! お初に御目もじ致しますわ! 権田原当主、ジュエルと申します!」


「じゅ、じゅえ・・・?」


「あー、違う違う。この人、本名お岩さんだから」


「ジュエルですわっ!!」


「でねー、この人はお岩さんの執事さんだよ」


「セバスチャンと申します。どうぞお見知りおきを」


「し、執事? セバ・・・??」


目を白黒させながら片頬をヒクつかせる凍雨君。


カルチャーショック連発ってとこかな?


そーよね。普通の感覚でいったらこれって結構スゴイ景観なんだよね。


もうすっかり慣れちゃったけど。


――ンモオォ――ウ!

「うあっ!?」


聞こえてくる牛の鳴き声に、しま子がピクリと反応した。


そして目を輝かせて外に飛び出していく。

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