神様修行はじめます! 其の三
門川君と生涯、共に生きると決意したあたし。


でも現実問題、あたしには現世での生活もあるわけで。


お父さん、お母さん、親友の真美。


それらは全部「はい、今日でさようなら~」って簡単に切り捨てられる存在じゃなかった。


悩んでいるあたしに、門川君が優しく言ってくれた。


「こちらとあちらを行き来すればいい。なんの問題も無い」って。



そもそも。

あたしと門川君の出会いは学校だった。


なんで彼が現世の高校に通っていたのか不思議だったんだけど。


彼は当時、こちらと現世の橋渡し的な役割をしていたらしい。


元々、神の一族は異形のモノたちから現世を守る一族。


その現世とのパイプを完全に断ってしまうわけにはいかない。


だからあの時の門川君みたいに、現世に通っている者がいるんだって。


なるほど、絹糸や権田原のお岩さんみたいに、妙に現世に通じている人がいるわけだ。


まあ、誰でも好き勝手に行き来できるわけじゃないらしいけど。


あたしは特別に門川君から正式な許可を得た。


以来かいがいしく、通い妻生活を送っている。


・・・・・


や、やだ! あたしったら――!

か・・・『通い妻』だって―――!!


きゃ――! 恥ずかしい――!!


あたしは思わず、照れ隠しに庭木に積もった雪をビシバシとぶっ叩いてしまう。


ドサドサ落ちる雪を見ながら羞恥に身をくねらせた。

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