Loneliness



気が付くと、
独房から団長の姿は消えていた。



死ぬなら、今だと思った。



口を僅かに開けると、
いつの間にか流れていた涙が
入って来て、
その しょっぱさに安心感を覚えた。



ああ、俺は まだ、物じゃない。
涙が流せるのは、
人間である印なんだ。



人間である内に、死にたい。



前歯で舌を挟む。



目を瞑った時、
瞼の裏に浮かんだのは、
レンドだった。



死ぬのは、怖いよ、レンド。



生きるのも苦しいけれど、
俺と言う存在が消えてしまう事が、
堪らなく怖い。



けれど、もう。



理不尽しか与えてくれない
この世界で生きる事が、
俺は出来ない……。



ぐっと口に力を入れた時。



「テューロ!!」



高く澄んだ声が、聞こえた。

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