Loneliness



【Talk:テューロ】



目が覚めて、気付いた。



昨日、大分 取り乱した俺は、
刹那達に何か色々と
弱みを見せた気がする。



我ながら、情けない事だ。



枷と鎖で繋がれている時点で、
俺に自由は無い。
今更 団長の所有物に なった所で、
何だと言うんだ。



もう1度、感情を殺せ。
心を殺せ。



10年前に人であるテューロは死んだ。
今 存在している俺は、唯の抜け殻だ。



そう言い聞かせながら目を閉じた時。



「……起きてるかい? テューロ。」



昨日も聞いた声が聞こえて、
俺は ゆっくりと目を開けた。



「……瞬。」



刹那の友達であり、
王立騎士団 団長の息子である瞬が、
格子の外から此方を覗き込んでいた。



「あ、名前 覚えてくれたんだ?」



何故だか嬉しそうな瞬に
あからさまに顔を顰める。



敵国のスパイに
名前を覚えて貰って嬉しいなんて
変わった奴だ。

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