Loneliness



俺の独房の鍵は
刹那しか持っていないらしく、
瞬は格子の傍に座り込んで
俺と目線を合わせた。



今日は刹那は居ないらしい。



そう気付いた時、
何故だか少し胸が ちくりと痛んだ。



「刹那なら今日は来ないよ。」


「…………っ?」



思っていた事を言い当てられて、
俺は変な声を上げそうに なったのを、
辛うじて堪えた。



それに気付いたのか、
瞬は くすくすと笑う。



次いで、不意に真面目な顔に なった。



「今日、俺が1人で来たのは、
親父が した事を
謝ろうと思ったからなんだ。」



瞬の言葉に黙り込む。
彼は気にする風も無く、
言葉を続けた。



「親父は、帝国の人間を
酷く毛嫌いしていてね。
まぁ、そんな性格だから、
団長を勤められる訳だけど。」


「……お前の父親が
帝国を嫌っているのは、
妻を殺されたからか?」


「……え?」



俺の問いに、瞬は固まった。

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