Loneliness



「テューロは偉いわねェ。
まだ5歳なのに朝 早く起きて
水汲みに来るんだから。
リューなんて未だに
お手伝いの1つも してくれないのよ。」



そう言って豪快に笑う おばさんに、
僕も笑い返す。
きっとリューは まだ寝ているのだろう。



やがて水汲みの順番が回って来て、
桶を片手に縄を手に取る。



数年やって来て慣れた仕事では あるけれど、
それでも来月6歳に なる少年の
仕事としては、
些か重荷で在る事に違いは無い。



水を桶一杯に汲み上げて、
後ろに並んでいた人に会釈を して
歩き出すと、広場の入り口で
リューの おばさんが待っていてくれた。



そのまま並んで歩き、
とりとめの無い世間話を しながら帰宅する。



家の前で おばさんと別れ、
水の入った桶を物置の前に置き、中へ入る。



母さんは既に起きていて、
僕の帰りを待っていたようだ。



「テューロ、お帰り。ありがとね。」



そう言って微笑む母さんに
僕も笑顔を返して、2人で朝食を作る。



僕は歳の割に
大人っぽいと言われがちだけれど、
自分では そうだと思った事は無い。



唯、家は周りに比べれば少し貧乏で、
母さんは足が悪くて働けない。



それが他人より少しだけ大変だと言う事は、
子供心にも理解していた。

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