Loneliness



それは そうだろう。



今迄 騎士団の団長に拷問されても
口を閉ざしていた罪人が、
情報を提供すると言い出したのだ。
しかも、命乞いすら せずに。



俺は言葉を続ける。



「そして、俺の躰は、
帝国には送らないで欲しい。
何処でも良い。
帝国以外の何処かに、捨ててくれ。」



独房に沈黙が落ちる。
僅かに驚きから立ち直った刹那は、
やっとと言った感じで口を開いた。



「……どう言う、事?」


「情報を提供した後、
あの団長のストレス解消品に
されるのは お断りだ。」



俺の言葉に息を飲んだのは、
恐らく刹那でも日里でもなく、
瞬。



「お前に話した通り、
俺は帝国が嫌いだ。
だから情報も渡すし、
死んでから帝国に帰るのも嫌だ。
だから、山でも良い。
海でも良い。
捨ててくれれば構わない。」



帝国に帰りたくないと言えば
嘘に なる。



帝国には、レンドが居る。
俺の、たった1人の友達が。



けれど、傷付き、
命尽きた俺の躰を、
レンドには見て欲しくない。
それなら生死不明のままで良い。

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