Loneliness
きっと俺の死体は
スパイ管理所に送られた後、
彼女の元へ移送されるのだろう。
彼女は俺の死体に縋り付いて泣き、
丁重に葬式を行ってくれる筈だ。
けれど、俺は もう、
彼女の元に帰る気は無い。
彼女は10年前、
家族ではなくなったのだから。
取引と称して こんな提案を すれば、
あっさり呑まれると思っていたのに、
予想に反して刹那は首を横に振った。
「ま、待って!
それ、あたしの一存じゃ
決められないわ!」
その言葉に、眉を顰める。
「何故?
俺の処遇は
お前に任されているのだろう?」
「それは……。」
俯いた刹那を見ていると、
不意に唇に笑みが浮かんだ。
やはり、俺と彼女は似ている。
大人から押し付けられた理不尽を
そのまま受け入れ生きて来た俺達。
だからこそ、
自分で決めると言う局面に
立たされると、逃げたくなる。
否、逃げる。