私の中のもう一人の“わたし” ~多重人格者の恋~
「えっ?」


「ある晩、彼女が玉に肩を抱かれて繁華街を歩き、そのままホテルに入るのを見た奴がいてさ、そいつがわざわざ俺に知らせてくれた」

「でも、それって変よね? だって、玉田さんは同性愛者なんでしょ?」

「そうなんだよ。だから俺は玉に聞いてみたんだ。もしあいつが女に興味を持つようになったのなら、それはそれで喜ばしいと思ってさ」

「まあ、そうよね?」

「ところがあいつはキッパリ否定したよ。そんな事してないって」

「あなたに悪いと思って嘘をついたんじゃないの?」

「それはないな。君も気付いたと思うけど、玉は嘘が下手なんだ。感情が直ぐに顔に出るからね。女みたいに」

「失礼ね」

「あ、ごめん」


でも、確かにそうだわ。あの時も、薫さんは表情をコロコロ変えてた。私には敵意むき出しだったし。


「目撃した奴の人違いって可能性もあるが、俺はひょっとして……と思った」

「……! アキラね?」

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