サイコーに不機嫌なお姫様。
「……彼女のなおだよ」
「きれいな人だね! 私、さゆりって言います。よろしくね」
「なおです。どうも」
冷めた返事。言わなくても元カノと感づいた様子。下の名前で呼ぶのは彼女くらいだから。
「直哉、話したいから行こう」
「いや……俺はなお達といるからいいや」
頼むからあっちに行ってくれぇ!不機嫌な姫になったら後が大変なんだからよ。
「話してくれば? 久しぶりに会ったんでしょ?」
よ、余計なこと言うなよ!やきもちを妬かないって分かっててもドキドキする。
「じゃ、私もこっちの部屋にいようかな。いい?」
「いいよ。ね? ツッチー」
ダメダメダメダメ!!!
……て、何で俺に聞いてくるわけ?
「……うん」
いや、ここは連れ出してキッパリ話し掛けるなって言ったほうが得策?
「さゆり……外で話そう」
その場から立ち上がって、さゆりと二人で部屋を後にする。
通路に置かれたベンチに座ってため息をついた。