羅刹の刃《Laminas Daemoniorum》



 そうこうして突っ立っていた酒童の前に、座布団がおかれた。

 誰かが持ってきたわけでもなく、ひとりでに3つの座布団が浮いてきたのである。

 座布団は、酒童と鬼門、そして加持の前に並行に並べられる。


「座るがよい。
話を立ち聞きするのは、羅刹とて辛かろう」


 立ったままの羅刹一行に、空亡は悠々と言い放つ。


「かたじけない」


 加持は座布団の上に座し、膝の上に手をおく。

 鬼門も同じく、姿勢良くそこに座る。

 酒童もまた、慣れない動作に戸惑いつつ、鬼門を真似るのだった。


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