好きだなんて言わなければよかった【完】

*デート



―――…



「…こ、怖かった」


「いやー、夜、夢とかに出てきそう〜」


「ちょっと、トラウマになりそうかも」




映画が、終わり、ゾロゾロと劇場内から人が出てくる。



出てきた人たちは、皆、顔面蒼白といった感じで、口々にそんな感想を呟いては、疲れきったように肩を落としていた。




しかし、その中で




「んー、まぁまぁだったねー、でも、久しぶりに当たりだったよ!!ね、旭!」



「…あぁ、途中からオレ、飽きて寝てたから、最後まで見てない」



「えー!もったいない、最後らへん、なかなかだったのに」




私と旭は、そんな会話を交わしていた。



同じ年代の女の子たちは、ひどく怯えている様子だけど、




このくらいなら想定の範囲内だ。



< 221 / 404 >

この作品をシェア

pagetop