ナツ恋。
今日せっかくいろいろ教えてもらったのに、ほとんど覚えてないこの体たらく。
シュウは怒ってないかな?
「ナツ」
「あ…!」
バス停の前にその人はいた。
何だか、目を合わせづらい……。
本数の少ないバスだから、必然的に一緒になってしまったんだ。
「お疲れ様。驚いた?」
「うん、すっごく。全然集中できなかった」
「そうだね。俺がいて戸惑った?」
「そりゃあ…ね。日野さんって呼ぶし」
「まさか、みんなの前でナツだなんて呼べないよ。俺は先生だからね」
そう言って困ったように笑うシュウは、もういつものシュウだった。