涙のみちしるべ
*亜璃side*




 始業式



桜の花びらがふわふわとあたしたちの頭の上を舞う。

「今年は亜璃と同じクラスになれるかな?」

さっきから、落ち着きのない瑠璃がそう言う。

「なれればいいね。」

とあたしは笑顔で返した。

あたしたちはこの中学に入学して2年目、つまり中学2年生となる。

楽しみで仕方なかった今日この日。

新しい教室、新しいクラス、新しい友達、新しい後輩。

全てがまた新しくなる。

よっぽど興奮してるのか、今日は学校に着くまでが遅い気がする。

「早く着かないかな」

あたしの隣に座っている瑠璃もあたしと同じことを考えていた。

「清美中学前」

バスの中にアナウンスが響き渡った。

そのアナウンスを聞いたあたしたちはバスをさっさと降り、校門をくぐった。

昇降口は1年生であふれていた。

その中に何人か2年がいるくらい。

3年は誰1人いなかった。

「よし、亜璃、心の準備は大丈夫?」

「うん。全然大丈夫だよ。瑠璃は?」

「心臓バクバク!ヤバい!でも、なんとかいけるよ。」

「じゃあ行こう!」

そう言って、あたしは瑠璃の手を引っ張った。

「るり、、、」

「なになに?どう?ウチ怖くて見れない」

と言って目隠しをしていた。

「瑠璃ってば!」

と言って瑠璃の目隠しを外した。

「ちょっ!なにするのよ!」

「いいから、自分の目で見て!」

と言って瑠璃の背中を押した。

「えっ、、、うっそ!亜璃とクラス一緒!?」

「うん!だってそう書いてあるじゃん!」

あたしと瑠璃は2年1組で同じクラスだった。

あたしたちは喜んで抱き合った。

瑠璃の目からは「うれし涙」が溢れていた。



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