学校一のモテ男といきなり同居
「あたしのベッドなのにー!」


「あれっ…俺、部屋間違えた?」


今やっと気がついたのか、井上くんが瞼を開けた。


寝癖のついた前髪を、軽くかきあげ目を細める。


「間違えてるし!これ、あたしのベッド!」



「そんな怒んなよ…どーりで、いい匂い……」


井上くんはあたしの枕に顔を近づけ、クンクンと……。


「キャー!やめて!」


あたしは枕をひったくった。






「俺の匂いもついてるけど」


ニヤリと笑われ、今その枕を思いっきり抱きしめている自分に気がついた。


自分のとは違う、柑橘系の爽やかな香り。


これは正しく、最近ウチの中でたまに漂っていた香り。


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