学校一のモテ男といきなり同居
「そーだな、思いだす」



平然と言う郁実の答えに、胸がズキッとする。



こんなアルバムをあたしにどうしろって言うの?



そんな元カノとの思い出を共有?



冗談じゃない。



郁実と目を合わせられないでいると、郁実がそっと手を握ってきた。



「俺、マジで最低なヤツだったな……って。好きでもないのに付き合ったり、ホント適当に過ごして来たから。

そのときは楽しかったけど、なんも残ってねーの」



「え……?」



思わず、郁実を見上げる。



そこには、優しくあたしを見つめる郁実がいた。










「思い出のエピソードとか、全くない。イベントも女とふたりっきりで、まともに過ごしたことない。

男友達も一緒に遊ぶことが多かったし、恋人らしーことは……これから、真央とするのが全部初めてだから」



そう言って、目を細める。



「ホントに……?」



「そう。例えそうじゃないとしても、この先、俺の心の中には真央との思い出しか残らないよーになってる。もう、そーなってるから」



元カノとの思い出について、どこに真実があるのかはわからないけど、



郁実の言葉が、ホントに嬉しかった。



嬉しくて……自然と、涙があふれてくる。



「郁実……あたし……困らせるようなこと言って、ゴメンね……」



「いーよ。真央はワガママだって、知ってるし」



「うっ……」



いつもなら言い返す場面だけど、もう郁実には勝てない気がした。



< 647 / 978 >

この作品をシェア

pagetop