学校一のモテ男といきなり同居
だって、郁実……優しいんだもん。



普通なら、過去の恋愛に嫉妬されても、困るだけなのに。















やっぱり郁実は……




あたしのヒーローだね。




いつも素直になれないあたしの心を、




簡単に溶かしてしまう。




こんなにも、あたしのことを思ってくれる人って、




いないよ……。




嬉しくて、郁実の胸に飛びこんだ。




「好き……大好き。もう、好きすぎてどうしたらいいのかわかんない……」



「ハハッ、なんだよそれ。でも大丈夫、わかるから。真央の気持ち、全部俺に伝わってるよ」



「ううっ……」



どうしよう、涙が止まんない。



「それでも、愛情を確かめたいときは…こーする」



郁実の唇が、あたしの目尻に軽く触れる。



「やっ……あたしの顔、涙でぐちゃぐちゃなのに…」



「そんなの、関係ない。いつでも、どんな真央でも……大好きだから」



チュッと音をたててされるキスが、妙に恥ずかしい。



指で涙を拭うけど、それすらも郁実の手によって阻まれる。



「郁実……ヤダ…、こんなの…」



「だったら泣きやめ?最後の夜が、泣き顔とか…イヤじゃん」



「最後……って?」



ズキッと胸が痛くなる。



「2日後…って言ったけど、色々準備とかあるし。明日、この家を出ていく」



ウソ……。



そんな……。



愕然とするあたしを、郁実がギュッと抱きしめる。



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