学校一のモテ男といきなり同居
……えっ。



停電!?



まだ目が慣れないせいで、草野くんの居場所がわからない。




……ってことは、




草野くんからも、あたしが見えないってこと…だよね。




ジッと息をひそめていると……暗闇から、




含み笑いが聞こえてきた。




「ククッ……」












草野くんはあたしの前方にいるはずなのに、




笑い声は、なぜか後方から聞こえてくる。




ど……どういうこと!?




「フッ……マジで、最高のシチュエーション。さて、どうやって襲おーかなっ」




暗くたってわかる……。




この楽しそうな口調や声は、草野くんのモノじゃない。




あたしの記憶が正しければ……




この声の主は、




今、ここにいるはずがない。




まさか……。




ううん、だって…そんなはず……。




事態を理解できずにいると、前方から男の悲鳴が聞こえた。













「ひぃーーーっ!!ぐぉっ」




同時に、バキッという鈍い音も聞こえ、そのまま辺りは静寂に包まれる。




「あ~、弱っ。モノ足りね~」




草野くんのモノとは違う、呑気な声が部屋の中に響く。




ってことは……




草野くんが倒されたってことになる。




助かったことには違いないけど……安心感と共に不安も入り混じった不思議な気持ちになった。




「誰……なの?」




こんなことをするのは、あたしの周りでは…




ミキオくんか……




郁実、だけ。












「ひどいな~…俺のこと、忘れた?」




この、緊張感のない話し方。




暗くても想像できる、独特のゆる~い笑み。




これは、ミキオくんのモノじゃない。




だけど……




そんなはず……ないよ。



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