嘘の誓いとLOVE RING
「え…?使ったって?」
「実は、水川社長の行動は、だいぶ前から目をつけていたんだ」
生唾を飲み込むほど衝撃的な内容に、言葉を失う。
敦貴はそんなに前から、凌祐の会社の情報を狙っていたのか。
「あいつ、うちのライバル会社と手を組んでいて、見返りに報酬を貰う約束をしているらしいんだ」
「本当なの?」
凌祐は頷くと、話を続けた。
その話ぶりは、驚くくらい落ち着き払っている。
それにしても、そんな事が現実に起きているなんて、まったく想像すら出来なかった。
「それで、行動を監視していたんだけど、美亜と一緒にいた事があったろ?それで確信したんだよ。あいつ、美亜から聞き出そうとしてるなって」
凌祐が言っているのは、社長夫人の集まりの時の話か。
確かにあの時、凌祐は私が敦貴と一緒にいる姿を見て、かなり驚いていた。
「それにしても、圭祐に言われていたのよ?水川社長に取り入れって。彼が、中心人物だからと…」
「それは、俺が頼んだんだよ。たぶん、美亜に目をつけるだろうから、美亜が水川社長を避ける様にはさせないでくれって」
あの集まりに、そんな裏取引があったとは驚きだ。
「だけど、まさか二人が恋人同士だったとは予想外だったけど」
凌祐のバツ悪そうな笑顔に、私の心臓は跳ね上がったのだった。