嘘の誓いとLOVE RING
「恋人同士だったんなら、きっと美亜に話す。そうすれば、美亜だって気になるだろうから、俺に確かめようとする。そう思って、わざと含みのあるそぶりをしたんだけど…」
「じゃあ、佐倉さんの妊娠は?」
「妊娠なんてしてないよ。退職は本当だけど」
妊娠なんてしていない…?
体から力が抜けていく。
何もかも、嘘だったなんて。
「でも、情報を漏らしちゃったのよ…?」
「ああ、あれも…嘘。新製品の開発なんてしてないよ」
「してない!?」
もう、嫌だ。
私のここ数日を返して欲しい。
あんなに悩んでいたのが、バカらしいったらない。
大きくため息をつくと、凌祐はさらに気まずそうな顔をした。
「ごめんな。きっと、あいつは、うまい事言って美亜から聞き出すだろうと思って」
「で、私が喋ると思ったと?」
恨めしげに見ると、凌祐は両手を合わせて頭を下げた。
「本当にごめん!美亜を信用してなかったわけじゃないんだ。ただ、ちょっと天然なところがあるだろ?だから喋るかなと…」
なるほど。
だから今まで、仕事の話をしてくれなかったわけだ。
「最近、ようやく仕事の話をしてくれていたのは、あれも嘘?」
「嘘じゃないけど、あまり重要じゃないものを話したかな…?」
睨みつけると、凌祐は気まずそうに目を逸らしたのだった。