嘘の誓いとLOVE RING


会社を変わるだなんて、簡単に出来る事ではない。

だから、お父さんのハッタリだと思っていたのに、それは本当だった。

実は、私が勤めている精密機械の部品製造会社は、凌祐の会社の子会社だったらしい。

そんな事も知らないのだから情けないけれど、言われてみれば、凌祐の会社は精密機械のメーカーだ。

業界としては一緒なのだから、繋がっていても不思議ではない。

それにしても、無意識の内に、凌祐の子会社を選んでいたなんて皮肉過ぎる。

その為、凌祐の会社への入社も訳なく、“転籍”という形になるらしい。

そして、これには悪意すらも感じるけれど、今回の転籍は、凌祐のお父さんである会長命令になっている。

だから、私が勤めている会社は逆らえるはずもなく、そして結婚の事情も知っているのだから、アッサリと承諾されたらしかった。

そして何より、問題は仕事内容だ。

一体、どんな職務を言い渡されるのかと思っていたら何と、副社長秘書を命じられたのだった。

秘書業務なんて未経験な上、副社長は凌祐の2歳年下の弟、圭祐(けいすけ)なのだから。

< 26 / 220 >

この作品をシェア

pagetop