嘘の誓いとLOVE RING


圭祐は、背格好は凌祐にそっくりで、さすが兄弟といった感じだ。

ルックスは圭祐の方がずっと甘く、髪型も流れる様なヘアスタイルで、短めに整えられている凌祐とは違って全体的に雰囲気が緩い。

その圭祐の秘書になるというのだから、もう何が何だか分からない。

ただ、凌祐の秘書ではない理由が、凌祐には既に有能な秘書がいるかららしい。

それも女性の。

だから、圭祐の秘書にさせられるらしいけれど、凌祐の側にいさせるのが目的な割には圭祐の秘書。

その若干矛盾のあるやり方を通す為に、わざわざ転籍をさせるのだから理解しがたい。

それを問い詰めると、お父さんは何度も同じ言葉を繰り返した。

「凌祐くんの側にいて、少しでも大変さが分かれば、バカな気も起こさなくなるだろう」

と。

もちろん、“バカな気”とは離婚の事。

だけど、側にいるのは凌祐じゃなく圭祐じゃ、その効果は薄れるのではないかと思う。

「はぁ…。どこまでも流されるままだなんて」

強制的な結婚に恨み言を言った私に、最後にお父さんが放ったセリフで、完全にノックアウトをさせられたのだった。

「本当に嫌なら、絶対に結婚をしないと思ってたんだよ。でも、結局は話を受け入れた。お前だって、まんざらでもなかったんだろう?」

もしかして粘り続ければ、結婚をしなくて済んだのか?

そう思うと、ため息ばかりが出るのだった。

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