嘘の誓いとLOVE RING
「え?」
思わず目を開けると、真顔の凌祐が私を見ている。
「あまりにも強引な話だもんな。美亜が嫌なら、俺からオヤジに頼むよ」
確かに強引な話だけれど、それなら結婚の方が強引だ。
どうして、秘書の話は断る余地があって、結婚話にはなかったのだろう。
もしかして、凌祐は私が圭祐の秘書になるのを嫌がっているのか…。
それはなぜ?
私が側にいては、何か不都合でもあるのか。
そう考えると、無意識に首を横に振っていたのだった。
「ううん。もう諦めたわ。強引なのは、秘書の話に限った事じゃないから」
そう答えると、凌祐は小さく微笑んだ。
「そっか。美亜がいいなら、いいんだよ」
どうも言い方が引っ掛かる。
どこか納得していないような、苛立ちも見えるような、そんな感じだ。
「私が側にいたら迷惑?」
仕事の場まで一緒なのは、さすがの凌祐もウンザリなのか。
「いや、そうじゃないよ」
「それなら、気にしないで。私、ちゃんと仕事はするから」
私も何に意地を張っているのか、こうなったら何がなんでも秘書の仕事はやる…、そう決めたのだった。