嘘の誓いとLOVE RING
「私が凌祐を好き…?」
「そうだよ。佐倉さんの事が気になるのは、ヤキモチからだろ?」
「違うわよ。私はただ…」
ただ、何だと言うのだろう。
すると、圭祐は畳み掛ける様に言ったのだった。
「もし、兄貴を好きでなければ、佐倉さんとの関係は、うまくいけば離婚の理由に出来るかもしれないもんな。だけど、美亜にはそんなそぶりがない」
「だからって、好きって事にはならないじゃない」
反論すると、圭祐は淡々と言ったのだった。
「なるんだよ。美亜は二人の関係をきちんと知った上で、兄貴を自分のものにしたい。そう思ってるんだ」
自分のものにしたい?
そんな風に考えている訳がないではないか。
何度も言う様に、私たちの結婚は意志に背いているもの。
神様の前で誓った想いは、嘘なのだから。
「圭祐って、本当に最低ね!」
勢いづけて秘書室を出る。
また仕事中に、席を空けてしまった。
それも、圭祐に悪態をついて。
「違う。トイレに行くだけよ」
熱くなった頭を冷やす為に、一つ下の階のトイレへと向かったのだった。