なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
熱いシャワーを頭から浴びてしばらくそのまま立ちすくみながら考えをまとめた。
聞くのは怖い。
野々宮さんとは一体どんな関係なのか、昨夜は何があったのか、これからどうなるのか。
アメリカに行っちゃうのか。それともまた他の国なのか。
聞きたいことは盛りだくさんで、
望んでいない答えが出てくるんじゃないかと思うと辛い。
そして、それを聞かないとならないのは正直、苦痛だ。
チャッと音がした方を見るとそこには萩原さんがいて、
「...ちょ! まだシャワー中なんですけどっ。すぐ出ますから」
びっくりした。
また勝手にシャワーに入ってきて、いつも通りにこにこした意地悪な笑みを浮かべているから。
だって、こんなことできるような雰囲気じゃないのは分かっているはず。
昨夜のことを考えれば、この場合は私がシャワーから出るのを待っているのが普通なんじゃない?
何事もなかったかのようなこの振る舞い方はなんだか少し......
「いいよ。洗ってあげる」
!!!!!!!
「いやいやいやいやいや、いいですいいですいいです! 自分でやりますから。小さい頃から自分のことは自分でやれと言われてきてますし...」
「なにそれ。いいじゃん。彼氏と彼女なんだから」
その場に流れている空気と時間が止まった。
今、なんて言ったの?
「今、なんて...言ったんですか」
「彼氏と彼女」
さっくりと言われたその言葉に、体の力は少し抜けた。
背を向けて立っていたけど、それを聞いた瞬間にくるりと振り返りしっかりと目を合わせた。
「ほんとに?」
「本当」
「...じゃあ...で...でも昨日は...昨日は...」
なんて言われるんだろう。なんて言うんだろう。
萩原さんの視線は私の視線としっかりぶつかっていて、でも変わらない笑顔をくれていて...
その笑顔がするりと手からこぼれ落ちて行くのかと考えると怖くて、
切り出せない。