なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】

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 部屋の前に立ってドアに手を当てる。

 この壁1枚向こうには、会いたくて、でも会いたくない人がいて、全てを聞く決意なんてまだしてなくて、

 ひとつ前に進めたことがあるとすれば、それはこうやってここに戻ってきたってことだろう。

 そして萩原さんと対面して話をしてみよういう気持ちになったことだ。

 秀太郎さんとあそこで会ってなければきっと私はスタジオで一晩明かていたと思うし。

 



 静かにドアを開けて中に入ると懐かしい匂いがして、すぐそこに萩原さんがいることを感じられて胸が痛い。



 リビングに入ったところで萩原さんが開いているパソコンから目をはなし、立ち上がって私と向き合った。


 言葉はかわしていない。

 言葉なんて必要ない。

 人はその人と向き合った時に受ける印象で、いろいろなことを感じ取れるものだから。

 目を見れば分かる。


 困っている表情で、申し訳ないという目をしていて、私をうかがっているその感じが悲しくて、目をそらした。



「夏奈?」

「......はい」

「昨日は悪かった。ごめん」


 なんで謝ってるの? 何に対して謝ってるの?

 そんなことばが欲しいわけじゃないのに。



「......シャワー...浴びていいですか」

「シャワー?」

 怪訝そうな顔をしたけど、すぐさまスタジオにいたことを簡単に告げると、いつものように優しく笑って、分かったって言う。




 その笑顔が好き。

 だから失うのが怖い。




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