なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
「いえ、あの、違うんです! 忘れたとかそういうんじゃなくて」
「忘れたんでしょ?」
くすくす笑ってまた髪の毛を撫で始めた。
「......すみません」
「今度教える」
「えー! なんでですか! 今教えてくださいよっ。教えてくれてもいいじゃないですか」
「本当は思い出してほしいんだけどね」
え?
「まあ、そんなことよりミッション3クリアおめでとう」
「...クリアしたんですか? 確か好きになることでしたよね?」
「好きになったでしょ?」
「はい。大好きです」
「......そんなはっきり言われるとは思わなかった」
「私、萩原さんのことなんにも知らないけど、それこそ名前すら知らないですけど、でもいいの。ずっとずっと一緒にいたいって思うし、萩原さんの助けになりたいって思う」
「...それ、俺が言う台詞なんじゃない? 最後のところは」
「うー...私じゃ力になれないとは思うんですが気持ちだけは...」
「何言ってんの。十分力になってるよ。ありがとう」
私はもう十分なほど助けられてますから! と、とぼけて笑った。
なんの駆け引きもしない素の笑顔ほどホッとするものはない。
ミッション3の好きになることは無事にクリアしたらしい。
確かに萩原さんなことは好きになった。
でも、どうしてこれが復讐計画に含まれているんだろう。
「次が最終復讐計画だそうだ」
「私はまだ何か言ってたんですかっ!」
「最後は」
「最後は?」
何を言われるのか考えるとドキドキする。
だからきつく抱きついた。必ず私以上の力で抱きしめ返してくれるから、
癖になる。
「愛すことだそうだ」
おでこにキスをされながら、そんなことを言われた。
愛すことって、なに?
どういうこと?
「愛すことって、一体何がなんだか」
「さぁ。俺に聞かれても分からないけど、お前ならできるんじゃないか?」
「...他人事のように」
「俺が側にいるから大丈夫だろ」
もう......だからね......
「大好きです」
「知ってる」
「きつくきつく抱いてください。放さないで」
「放れてって言われても放れないよ」
今までの不安が一気に流された。
ひとつになれたって、そう思った。
ミッション3 コンプリート。
【好きになることの対象】
1、萩原さん。
2、仕事。
【また持ち越し】
萩原さんの名前。
【増えたこと】
秀太郎さんが言ってたこと。
私と萩原さんが万が一一緒になった場合に表れる面白い現象。