なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
「あのね、真と私は3年一緒に住んでるんですよ。そして昨夜ちょっとしたことで喧嘩になって、いろいろとあってこんな風になってるんです。昨晩はどこを探してもいなかった。私も納得がいかなくて、でも置き手紙にこの時間に荷物を取りに来いって書いてあったからこうして帰ってきたんですけど」
「3年! 何年も彼女いないって言ってたのに!」
もう、顔面蒼白で固まることしかできない真は、目だけがきょろきょろと泳いでいた。
騙しやすそうな子だもんね。家に泊まれない理由も上手いこと言って丸めこまれたんだろう。私とこの女性を天秤にかけ、3年も一緒にいた私はあっさりと天秤から引きずり下ろされたってわけだ。一緒にいるなら小動物系の方がいいって思った真なら、やりかねない。
今となっちゃ、分かる気がする。以前にもこんなことあったような...
損得感情で動くことがある真は、私をも損得感情の対象としてはかりにかけたってわけだ。
はぁ......
真、私のバカさ加減に気付かせてくれて本当にありがとう。
「もういいや、荷物まとめるから」
もう何も言いたくない。自分がみじめになるから。
寝室のドアを今度はそろりと閉めて、スーツケースを引っ張りだし、自分の荷物をまとめ始めた。
寝室からは言い合いが聞こえ始めたけど、そんなのもう知ったこっちゃない。私は手際よく荷物を詰める。
一緒に買った食器やなんかはそのまま置いていってやろう。そんなもん、もういらない。
必要最低限のものだけ詰めて思い出の詰まっているものはここに置き去りにしていこう。
気持ちも含め全部をここに置いて出よう。