なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】

「そもそもが、あなたと夏菜じゃ無理なんですよ。こいつほら庶民代表みたいな奴だし見てこの格好、色気も何もあったもんじゃないし」



 言いたい放題言いやがって!



 なによ庶民代表って。そ、そ、そ、そりゃ確かに洗練されてる人には程遠いけど、なんとか頑張れば見れるくらいにはなるもん!

 きっと、たぶん...

 なるかもしれないじゃん。

 それをこの男はつらつらつらつらとピキってくることばっか言って...


 真を許したのは失敗だったかも。



「こういうとこ来たことないでしょ? 俺らこういうとこのほうが落ち着くんですよ。ファミリーセットとか知ってます? ハンバーグ海老フライはセットがお得とか? ドリンクバーだけで5時間とかできます?」


 お金がない私たちは夜中にファミレスに来てはドリンクバーで朝まで繋いで、やっすいモーニングセットのトーストと卵焼きを食べてうちに帰って寝る。みたいなことしてた。

 真、ちゃんと覚えててくれてんだね。

 なんだ、そっか。

 ちゃんと覚えてるんだ。


 萩原さんとファミレスって一回も来たことがない。

 それでも一緒に料理したり、お酒飲みながら料理したから料理の味が濃くなって、それを食べて一緒に笑ったり...


 ダメだ。思い出しちゃダメ。泣く。


 腿をきゅーってつねって

『腿きゅー、腿きゅー、腿きゅー』

 とか意味不明な呪文を唱えて、忘れたくない楽しい思い出を振り払った。


 眉間に皺が寄る。やばい。泣いちゃダメなのは分かってるんだけど、どうしよう。


 目の前にいて距離もあるんだけど、暖かさが伝わってきて......



< 224 / 261 >

この作品をシェア

pagetop