新撰組に拾われた銀狐?!
「おい。お前大丈夫か?」



ビクッ。


上を見上げると、長い髪を後ろに
束ねた男が立っていた。



こいつ…人間?!



「ヴゥ…」


「そんなに威嚇すんなよ。
俺は別にお前をどうこうする気は端からねぇ」



男はそう言うと、しゃがみ込み
彼を傘に入れてくれた。


人間のくせに……変な奴だ。


ふと、違和感になっていた事を話す。



「お前、僕がこんな姿なのに、
怖くないのか?」


“こんな”とは、彼は今、頭にフサフサした耳を生やし
尻にはフサフサした
九つの尻尾を生やしていた。

まぁ、今は濡れていて地面に落ちているが。



「別に…、怖くねぇよ。
それに、雨に濡れてたら風邪引くぞ」


「け、けど…」


「俺はここをたまたま通り、
お前に出くわした。
翌日になって凍死していたら目覚めが悪い。
だから、これは俺のためでもあるんだ」



男はそう言うと、フッと微笑み
彼の頭を撫でた。


「びしょ濡れじゃねぇか。さっさと行くぞ」



フワッと突然、浮く感じ。



「うわっ!離せ!」



彼はいつの間にか男に“だっこ”されていた。
バタバタと手足を動かすが
次第に男の温かい体温と鼓動に眠りに入った。





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