究極的な愛の形


まくし立てるかのような物言い、いつも爽やかな印象しかない彼の豹変ぶりに、彼女が恐れを抱くのも無理ない。


掴まれた腕を振り払う。その拒絶に、『やり過ぎた』と彼女が謝罪する間もなく。


「なんで、僕の……手を……!一緒にいたいって、そう言ったよねぇ!僕もそうだ、その言葉を聞いたとき、やっぱり僕と君は相思相愛だと、涙まで流してみせたのに……嘘、ついた?」


激昂から失意。
顔をうつ向かせる彼に、彼女がなんと言葉をかけるべきか迷っていれば――口を塞がれた。


「違う、嘘なんか……、あ、はは、そうだ、嘘なんかじゃない……!君は僕に嘘をつかない。だって、僕がそうだもの!愛しているから、君の前では誠実でいたい!相思相愛である君とて、そうだよねぇ!」


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