究極的な愛の形
「なんで、泣くの?」
首を傾げるさまは、本当に分かっていないのだろう。
無垢と名のつく首かしげのまま間を置き、彼は彼女の頭を撫でた。
優しさの現れ。
どんな慰めよりも落ち着く彼の愛ながらも、その愛でこんなにも汚されてしまったと彼女の涙は尽きなかった。
「嫌だった?気持ち悪かった?――ああ、やっぱり。起きている時が、良いのか。寝ていたら、愛を囁けない。僕ばかりが満足していたよ、そうだ、そうだね。君も僕を、愛したがっているんだから」
勘違いも良いところだが、彼の中では既に完結してしまった。
彼女の涙の理由。
「愛して。ほら、いつものように」
起きたからこそ流す涙を舌で舐めとった後、彼の唇は彼女の口元へ。
酸素を共有してもおかしくない距離。僅かでも彼女が顔を上げれば、彼に口づけが出来るであろう。