咆哮するは鋼鉄の火龍

休まらぬは戦士達の休日

 崖上の兵は北へと退却し、施設内に残っていた敵兵は投降し監禁され佐竹が情報を聞き出していた。

 本多の部下は家族との再会後、エアロバイクとトラックに乗り後方の監視施設に残された東名兵の身柄確保に向かった。

 本多はドクターの指示で重症の男と療養に入り、他の乗組員達は敵の武器の回収と死体の処理に追われ、立花と宇佐美は発電施設の被害確認を行っていた。

立花
「兵舎が固まっていたから施設への被害は無さそうだな」

宇佐美
「そーですね、火龍もほぼ無傷で済みましたし」

立花
「どうだ?

 変電所まで電力を送れそうか?」

宇佐美
「崩壊後に作られた施設なんで抜けが多くって、全部見て回らないと分からないですね。

 でもまー送れたとしてもソーラーパネルが持ってかれてるんでねー、送れたとしても前の六割程度ですね。

 見る限り地熱は生きてそうですし」

立花
「無いよりましさ、太陽光発電はしょうがないか、それだけでも箱根の近くに置いときゃよかったのに」

宇佐美
「まーしょーがないですよ、元々ここに埋められてたらしいですからねー」

立花
「そうだったのか、詳しいな?」

宇佐美
「自分は元々民事のエネルギー開発部でしたし、趣味で四輪作ってたら親方に引き抜かれたんですよ」

立花
「へーそれで兵器意外の機械にも強いんだな」

宇佐美
「へへへ只の機械おたくなだっけすよ、点検終わったら報告しますね」

立花
「ああ頼む」
 
 立花はその場を後にし、本多の元に向かった。

本多
「立花殿」
 
 本多はベットから起き上がろうとした。

立花
「そのままでいい」

ドクター
「動くなゆーとろうが」

本多
「私はうごけるんですがねー」
 
 本多はドクターの方を見た。

ドクター
「三、四日で傷が完璧に塞がったら医者なんぞ存在せんわ!」

立花
「箱根にいったら温泉に入ればいいですよ、傷にも効きますし。
 
 それまでは安静にしておいて下さいね」

本多
「いや、私を今後の作戦に参加させて下さい、自分も一緒に行きます。

 恩返しがしたいんで」

立花
「いや、十分助けてくださいましたよ、お陰で乗組員は全員無事でしたし」

本多
「東名より先の地域にも詳しいですし、最適化兵士は戦力にもなりますよ?

 どちらにせよ戦う事しか出来ませんし、箱根に行って兵士になるなら貴方の下で働きたい」

立花
「うちは最前線ですよ?

 家族はどうするんですか?」

本多
「いやーあれは部下の家族で私は……決して顔は悪くないんですがね?

 わはは、しがらみもなくなったし、存分に暴れてみせますよ!」

ドクター
「わしの仕事を増やすなよ?」

負傷した男
「隊長、自分も行きますよ」

本多・ドクター
「お前は寝てろ」

立花
「はは、じゃあこれからは部下ですし遠慮なくいきますよ?」

本多
「はっ!一度は死んだ身です。

 この命存分に使って下さい」

立花
「では本多、出撃までは療養を命ずる」

本多
「まあしょーがないですね、立花殿、部下とその家族なんですが」

立花
「安心して下さい。箱根に難民として輸送します、そうだ、ドクター健康診断をお願いしたいんですが?

 長く監禁されていたようだったので」

ドクター
「ああええよ、わしも言おうと思っとった」

本田
「何から何まですいません」

立花
「じゃお大事に」
 
 次に立花は機関車長の所へ向かった。
 
 民間出身で火龍の一番の年長者であったが腰がとても低い男であった。
 
 元は白かったであろうタンクトップは石炭の燃えかすで真っ黒になっていた。

立花
「機関車長」

機関車長
「みんなが呼んどるように呼んでください、どーにも言いずらくねっすか」

立花
「すいません、じゃあ…すすじい、どうですこいつの調子は?」

すすじい
「榊原のおやっさんが作ったからタフですけど、前が見ずらくって」

立花
「でも先頭にはもってこれないしなー」

すすじい
「あと通信が聞こえづらいんですよ、年ってのもありますが」

立花
「でしょーね常に機動音してますもんね」

すすじい
「まー気張ります」

立花
「誰か若いの付けますよ、上部ハッチから前方確認が出来て、耳のいいやつ」

すすじい
「面目ねーす」

立花
「いや、すすじいの運転技術を受け継いでもらわないと」

すすじい
「そうすね、あと腰もいてーす、ドクターんとこ行ってもいいすか?」

立花
「すいません、民事ならこんな苦労しなくて済んだのに」

すすじい
「いやー、おもしれえっすよ、みんな気ー使ってくれまっし、ただあと眼鏡見当たらなくって」

立花
「頭、頭、それサングラスなんですか?」

すすじい
「冗談す。

 これ眼鏡で、黒いのはすすっす」

立花
「色々、分かりずらい」
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