咆哮するは鋼鉄の火龍
 再出撃した火龍は五つ目の巨人が待つ半円状の線路前まで迫っていた。

 速度をあげた火龍の横に本多とリトルを乗せたエアロバイクが並走している。

拡声器(立花)
「作戦を開始する!

 武運を祈る。行け!」

 立花の合図でエアロバイクがスピードを上げ火龍を追い越した。

 線路前方ではヘリを落とされてから直ぐに再度攻めてきた火龍を脱線させる為、急遽東名の工兵が線路を外す作業を行おうとしていた。

 しかし思わぬ火龍の反撃速度に工兵は今から作業を行う所であった。

 リトルが後ろから工兵を撃ち、本多も片手でバイクを操縦し射撃を行った。

 襲撃に恐れた工兵は機材をほったらかし、指揮官を置いて我先にと逃げ出した。

 東名の指揮官は手榴弾を取り出し捨て身で線路へ肉薄するが本多に轢き飛ばされてしまった。

本多
「おいっ耳元で撃つな!

 鼓膜が破れるだろ」

リトル
「じゃあ直接鼓膜を撃ち抜きますか?」

本多
「なんて口の悪い奴だ、ノッポとデブが可哀想だぜ」

リトル
「ファットですし」

本多
「いいから旗よこせ」

 本多が緑の旗を降っているのをコックが捉えた。

通信(コック)
「前方線路以上無し」

立花
「機関車!特殊燃料を投入し全速前進、電源車、エアロシステムを作動、主砲車両の電気、回線経路を切り離せ」

 すすじいが固形燃料を釜に投げ入れると、釜の外まで火が吹き出した。

すすじい
「こりゃ楽ちん、織田、捕まれスピードあがるぞ」

 電源車にある大量のバッテリーの電力が火龍に等間隔につけられたエアロバイクと同じ原理で動く半重力磁場発生装置に送られた。
 
 重い火龍は浮く事は出来ないが、車体を軽くし車輪とレールの摩擦力を緩和する事により旧式の機関車とは思えぬ程のスピードを見せた。

 また石炭の代わりに超燃焼の特殊固形燃料を投下する事に蒸気機関車の性能を最大限以上に発揮させたのだ。

すすじい
「こいつはすげー速度計が目一杯になるぞ!

 こちら機関車!

 この固形燃料でボイラーが吹っ飛びそうっす」

通信(立花)
 「止まれば撃たれる!

 そのままだ!」

 要塞からの砲撃が開始されたが、急激に速度を上げた火龍を捉えられず、移動要塞自体が角度を変更するより早く、火龍は半円を火花を散らし駆けていった。

佐竹
「うおおお、即席の補助輪だけで大丈夫かこのスピード」

 火龍の内部は凄まじい振動と軋む金属音が鳴り車両が傾いていた。

 宇佐美によって急遽付けられた補助輪は遠心力で傾く火龍を支え地面をえぐり回転している。

 片倉は上部ハッチから戦況を確認し、指揮車へと降りた。

片倉
「今です!」

立花
「赤松!今だ!」

赤松
「忘れないでくれ!赤松という男がいた事を!」

 赤松は大型ハンマーで連結部を叩いた。

 そうすると連結器が外れ、赤松が急ぎ手動ブレーキを掛けた。

 赤松は敬礼し、走り去る火龍本体を主砲車から見送った。

 要塞内部ではヘリの撃退と火龍の速すぎる反撃に混乱が起きていた。

東名兵士
「最後尾のシートを被った車両が離れました!」

要塞指揮官
「当たったか?

 それとも速度の出し過ぎでで連結部分が千切れたか?

 ほっとけ、それより前を走る奴等を止めろ!

 ここを抜けられたら本部に戻れんぞ!」

東名兵士
「早すぎます。こちらの旋回速度が追い付きません」

要塞指揮官
「泣き言を言っている場合か!

 奴等の進む先に我々の家族がいるんだぞ!

 何であのスピードで脱輪しない?

 主砲砲身!駆動部!急速旋回!

 何としても奴等の鼻先を捉えろ!」

 要塞は高速で走る車両を捉えんと巨体を左に回転していった。

 その時轟音と振動が要塞を震わし、要塞は動きが鈍った。

要塞指揮官
「何事だ!」

東名兵士
「要塞右側面に被弾、後方に止まっている車両からです」

 再度要塞に衝撃が走り、暫くして爆発音がなった。

東名兵士
「二発目の敵の砲撃により下部の右側砲台に誘爆大破、右舷自走機関停止しました。

 左舷機関だけでは回転出来ません」

要塞指揮官
「なんという事だ!

 やられた…あっちが囮だっだのか!

 機動部隊を出してあれを黙らせろ」

東名兵士
「機動部隊、既に先頭を走る車両に向かい出撃してます」

要塞指揮官
「誰がそんな事を命令したんだ!

 全員武器を取れ白兵戦準備!」

 更に要塞へと火龍主砲車両から追撃が容赦なく浴びせられた。

東名兵士
「第一層、二層、四層、五層に火災発生。

 下腹部左砲台に敵の兵士が接近」

要塞指揮官
「このくそ忙しい時に!数は?」

東名兵士
「一人だそうです」

要塞指揮官
「そんなもん撃ち殺せばいいだろーが!

 何故そこまで近づけさせたんだ!

 機銃は何をやっていたんだ!」
 
 さらに要塞に衝撃が走った。
 
 本多が敵の砲口から手榴弾を投げ入れ誘爆を誘ったのだ。

 火龍の主砲からも容赦なく砲撃が続いた。

東名兵士
「消化を急げ全部吹き飛ぶぞ」

要塞指揮官
「最早これまでだ。

 火災に構うな!要塞を捨ててあの主砲を奪うぞ、急げ!」

 要塞前では激しい追撃が本多に向け行われていた。

本多
「リトル!ここだってここ!」

 敵の銃弾を背中にくらいながら本田が走って逃げていた。

 そこにバイクに乗ったリトルがドリフトを行い本多を回収した。

本多
「おお痛て、もっと早く迎えに来いよ」

リトル
「私は防弾スーツを着てませんからね」

本多
「俺の頭に当たったらどうすんだよ」

リトル
「単身要塞に登るような人の頭には何も入っていないから大丈夫では?」

本多
「みたか?俺の勇姿を!

 今夜抱いてやってもいいぞ」

リトル
「ではファットにそう伝えときますね」

本多
「待て待て、それも待てだが敵が出てくるぞ!

 主砲車に急げ!」

リトル
「しっかり捕まっててくれなくてもいいです、いきますよ!」

 二人を乗せたエアロバイクは一直線にチキンヘッズを乗せた主砲車両の救援へと向かった。



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