狡猾な王子様
「好きだよ。冬実ちゃんのことが好きだ」


信じられなくて、驚きを隠せなくて、それでもたしかに喜びもあって。


悲しみでいっぱいだった心はパンクしそうで、頭も心もグチャグチャになった私の頰には涙が伝っていく。


「初めて告白された時は、絶対に恋愛対象になることはないと思ってた。みちるのことがあったし、冬実ちゃんの真っ直さは俺にとっては目を背けたくなるものだったから、近づくのは怖かった」


英二さんの言葉を聞き逃したくないけど、冷静ではいられなくて涙を止めることができそうにない。


「でも……たぶん俺は、自分でも気づかないうちに冬実ちゃんの真っ直ぐさに惹かれていたんだと思う」


この状況は私にとっては現実離れしていて、いっそのこと夢だと思う方が信じられるのに……。


「スレてない感じが自分とは全然違うから、時々居心地が悪く感じることもあったのに、俺の言葉に一喜一憂する姿からいつの間にか目が離せなくなってた」


無意識に噛み締めた唇の痛みが、現実だと教えてくれた。

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