狡猾な王子様
ほら、やっぱり……。


やっぱり見透かされていたのだと、唇を噛み締めた。


予想していたはずなのにやけに悲しくて、少しだけ浮き上がっていた心が急降下する。


それなのに……。


「でも、例え突き放すにしたって、もっと他に言い方があったと思う。今更謝っても遅いけど、本当にごめん……」


英二さんの声が、あまりにも苦しげで。


この間の彼の態度を酷いと思う気持ちは変っていないのに、その声音に誘われるようにゆっくりと顔を上げてしまった。


「許して、なんて身勝手なことは言わないけど……」


目が合った英二さんは、一度瞳を伏せて微苦笑を浮かべたあとで、真剣な眼差しを私に向けた。


「ひとつだけ、言わせて欲しい」


秀麗な彼の真剣な表情は、いつもに増して私の心を強く惹き付ける。


「俺みたいな奴のことを好きになってくれて、本当にありがとう」


優しい声音で紡がれたその言葉は、痛む胸を柔らかく癒やすようにストンと落ちた。

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