溺愛協奏曲
「いや、さっき確かに聞こえた、ちゃんと答えるまで離さねえ!さあ

答えろ」




「わ・・わかったから・・あのね、城崎さんちょっとだけ恐かっただけだから」



「城崎?ああそうか・・・・恐かったか?」



ぎゅっとあたしの手を掴んで微笑んだ



「なんか言われたのか?」



「ううん、なんにも・・・ただ蓮をよろしくって」



「そうか・・・・」



さっきのやりとりを事細かに話すことはないかなって思って蓮には話さなかった




城崎さんと蓮との関係をあたしが壊しちゃいけない




そう思ったから・・・・




「城崎さんって蓮のこと・・大好きなんだね」



「ふっ・・・なんだそれ、なんでそう思う?」




「なんとなく、話しててそう感じたから・・・」




「莉子がそう感じたならそうなのかもな・・・あいつはもう一人の俺の

親父みてえなもんだし・・・俺の育ての親みたいなもんかな」



あたしの髪を撫でながら話す蓮はどこか遠くをみていた



その顔はとっても穏やかで・・・暖かい感じがした



いつの間にかソファに座り蓮の膝の上にいたあたし



い・・・いつの間に?



蓮はあたしを抱っこしたまま髪の毛をいじっているとなにやら遠くから走ってくる



人の足音と叫び声が聞こえた




「わ・・・・若!」



「若、大変っす!茜さんが・・・発作を・・・!」



茜ちゃん?茜ちゃんが発作?



「すぐ、医者に連絡しろ、茜はいまどこだ」



蓮の顔がとたんに険しくなり、真っ青になった











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