溺愛協奏曲
「車、駅に着いたみたいだから送ってくよ」



携帯を眺めながら龍斗さんが呟く



ホテルで見た色のない目ではなくて目の前にはいつもの・・・・



普段通りの龍斗さんがいた




さっきの出来事が嘘のように穏やかで・・・




あたしを見つめる瞳はどこまでも優しくみえた



「あ・・・大丈夫です、一人で帰れます」





「そんなの駄目に決まってるし・・女の子をひとりで夜の繁華街を帰らせるなんて・・・


却下!いいから早く乗って・・」




「え・・・・でも・・」






いつの間にか目の前には黒塗りの高級車がいて




後部座席に無理矢理押しこめられると頭を座席にぶつける




っててて・・・・もう!なんなの



「もたもたしないで・・・たぶん蓮がお待ちかねだ、早く!」



え・・・・蓮が?




ふと何気なく運転席を見ると黒いサングラスの30代位の男の人




「若、どちらへ?」



「ああ・・・とりあえず組に顔出すから事務所に行け・・」





運転手さんにそう告げると走り出す車




組ってもしかして・・・大関組?




そこに蓮が居るの?




え~っ・・・なんで?



目を白黒させているとクスクスと隣から笑い声




「赤くなったり青くなったり・・面白いね


くくくっ・・・あっ・・一言言い忘れたけどうちの事務所に蓮・・・来てるみたいだよ


ちなみに蓮のやつ超絶機嫌悪くてすごいみたいで手が付けらんないらしいよ



莉子ちゃん後はよろしくね」



にっこり微笑む龍斗さんに軽い殺意が芽生えたけど・・・




蓮の怒りは十分に想像できて、頬杖をつくと深い溜息をついた



















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