【特別番外編】苦手な教師

「ちょっと、ごめんなさい……」


僕はそんな彼女たちをかきわけ、職員室へなんとかたどり着く。

しかし、そこでもまた驚くべきものを目にしたのだった。


「えー!?いいじゃん!受け取ってよ!」

「……返すのが面倒」

「別にお返し目当てじゃないし。受け取ってくれるだけでいいのに」

「……気持ちだけで充分だ」



――なんと真山は、チョコを持ってきた女子全員を、一人ずつ丁重に断っていた。

しょんぼりした表情で去っていく彼女たちが可哀想で、僕は口を出さずにはいられなかった。


「……いいじゃないですか、受けとるくらい。きっと彼女たち、真山先生のために一生懸命選んだか作ったかしてるんですよ?
その真心を無下にするなんて……」


そう話す僕の手元に抱えられたチョコを見て、真山はかすかに鼻で笑うと言ったのだ。


「どうせ同じ分の真心は返せないんだから、受け取らない俺の方が思いやりがあると思いますけどね」


――――――と。

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