秘蜜の秘め事
翌日から、古沢さんの家に行けなかった。

いや、わたしが行きたくなかったと言った方が正しい。

古沢さんが何かしたって言う訳じゃない。

自分が彼と距離を置きたいと思っているだけ。

「すみません、テストが近いから勉強に集中したいんです」

わたしのことを心配して自宅を訪ねてきた古沢さんに、わたしは言った。

「そうか。

テスト、頑張ってね」

古沢さんは問いつめなかった。

一言だけそう言うと、自分の家へ戻って行ったのだった。
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