【完・短編】~彼女は春を告げる~
「何なんだよ、マジで………」
不器用でヘタレ。
美琴に伝えたいことは山ほどあるのに、いざ美琴を目の前にすると何も言えない。
今を壊してまで、今以下という可能性がありながら
今以上になる勇気がない。
今以上になれる自信がない。
そのくせ、独占欲は人一倍あって。
美琴が他のやつと楽しそうに話すだけで、おかしくなりそうになる。
最近は女子相手にも妬くという始末。
そろそろ、本気でヤベェなと思う。
楽しそうな美琴にイライラして、
それ以上にこんな自分自身にイライラして。
ほんと重症みたいだ、俺は。