青い猫の花嫁
誘惑する猫

次の日。

それぞれグループに分かれて、自由行動をとっていた。
あたし達は、嵐山を見て回る事にしていて。

有名な渡月橋で艶やかに色づいた紅葉を眺め、旅の最終目的地は鈴虫寺だった。


「そろそろ移動だよ」

「あ……」


お土産屋を覗いていたあたしの隣に並んだのは、松田くんだ。
いきなり顔を覗き込まれたから驚いて、そうだと思い出す。

松田君と、同じグループだったんだ。




「何見てたの?」

「え?あ、これをね?見てたんだ」


それは小さなストラップ。
指差した先で、ユラユラ揺れる蒼色のパワーストーンが光った。


「へえ。綺麗だな」


感心したように、松田君が笑った。


「そう思う?あたしこの色、大好き」


瞬間かあっと、頬が火照る。
だって、この色……トワの瞳の色と同じなんだもん。
そう思ったら、昨日のトワがフラッシュバックして、心臓がギュってなった。


うう。

こんなことであたしを翻弄するなんて、トワ、恐るべし!
ジッとそのストラップを睨んでいると、隣でクスリと笑った気配がした。




顔を上げると、松田君が可笑しそうにあたしを見降ろしていて。

わっ、見られてた……。

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